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『決算書理解講座71 財務分析手法~損益分岐点分析~』

決算書理解講座70では「財務分析手法~収益性~」について説明しました。
今回は「財務分析手法~損益分岐点分析~」について説明したいと思います。

損益分岐点分析は、費用構造を分析し、売上高・利益との相関関係をつかむことにより、企業の収益体質やその余裕度を判断する他、利益計画にも活用することができます。

損益分岐点の算出

損益分岐点(売上高)とは、売上と費用が等しくなり利益(損益)がゼロとなる点、わかりやすくいうと損失と利益の分かれ目となる売上高をいいます。

実際の売上高がこの損益分岐点を超えれば利益が発生し、下回れば損失が発生します。

<公式による損益分岐点の算出>

損益分岐点(売上高)
=固定費÷(1-変動費÷売上高)=固定費÷(1-変動費率)=固定費÷限界利益率

となります。

固定費:売上高や生産高の増減に関係なく必ず一定額必要とする費用
(人件費、支払利息、減価償却など)

変動費:売上高や生産高の増減に比例して増減する性質の費用
(原材料費、商品仕入原価、外注加工費など)

損益分岐点の算式の意味するところは、固定費を賄うために必要な限界利益を確保するための売上高を計算することにあります。

損益分岐点比率による収益の安定性をみる

算出された損益分岐点と実際の売上高にどの程度の隔たりがあるかを測定することで
収益状況の安定度をみることができます。

損益分岐点比率=損益分岐点売上高÷実際の売上高×100

この比率が低いほど収益の安定性が高いことを示します。
但し、この比率が低いこと=将来の収益が安定している、とはならない点には
留意しておく必要があります。

 

損益分岐点の利益計画への活用

損益分岐点は、企業の費用構造をベースに算出されるため、この費用構造の将来変化を予測し、利益計画の策定に活用することができます。

①一定の目標利益を上げるためにはどれだけ売上高が必要か

必要売上高=(固定費+目標利益)÷(1-変動費率)

※固定費と変動費率が従来と変わらない場合の計算式。

②一定の売上高の時に獲得できる利益はいくらか

獲得可能利益=売上高×(1-変動費率)-固定費

※固定費、変動費率が従来と不変で、一定の売上目標が達成せきた時の利益の計算式。

③一定の売上高の時に目標利益を上げるための変動費率はいくらか

一定の売上高=(固定費+利益目標)÷(1-変更後変動費率)
変更後変動費率=(一定の売上高-固定費-目標利益)÷一定の売上高

※固定費は従来と変わらないが、売上高の増加が一定額以上期待できないので、変動費率を改善して目標利益を達成しようとする場合の計算式。

④一定の売上高の時に目標利益を上げるために節約しなければいけない費用はいくらか

費用節約必要額=固定費+目標利益-一定の売上高×(1-変動費率)

※売上高は一定以上増加できず変動費率も変えられない場合、目標利益を達成するためにいくら固定費を削減するかを検討する場合の計算式。

⑤販売価格が変化する見込みの時、一定の目標利益を上げるにはいくらの売上高が必要か

必要売上高=(固定費+利益目標)÷(1-変動費÷売上高×(1±変化率))

※当期に比べ、翌期には販売価格の変化が予想される場合の計算式。

⑥変動費率が変化する見込みの時、一定の目標利益を上げるにはいくらの売上高が必要か

必要売上高=(固定費+目標利益)÷(1÷変動費率×(1±変化率))

※当期に比べ、翌期には変動費率の変化が予想される場合の計算式。

⑦固定費の増減が見込まれる時、一定の利益目標を上げるにはいくらの売上高が必要か

必要売上高=((固定費±増減額)+目標利益)÷(1-変動費率)

※変動費は従来と変わらず、固定費のみ増減する場合の計算式。

ご理解頂けましたでしょうか?

次回は「財務分析手法~安全性:比率による分析~」について説明したいと思います。
お楽しみに!
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