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『決算書理解講座10 繰延資産Ⅰ』

今回のテーマは
『決算書理解講座10 繰延資産Ⅰ』について

今まで決算書を見るのが苦手な経営者やこれから経営者を
目指す方、決算書を理解したい社員の方にできるだけ解り易く
決算書の見方をお伝えできればと想い情報発信しています。

私は税理士、会計士ではありませんので、専門的なことは
お伝えしませんが、ポイントをできるだけシンプルにお伝えし、
また、決算書に興味を持っていただける方が少しでも増えることを
願っています。

決算書理解講座9では『固定資産<投資等>』について説明しましたが、
今回は固定資産を卒業し、『繰延資産Ⅰ』について書いてみたいと思います。

繰延資産ってどんなもの?
A社には、試験研究費という繰延資産が計上されているとして
その試験研究費を例に挙げて説明してみたいと思います。

新たな新製品の開発にむけて、試験研究に着手したとします。
まず、類似製品を収集し、何度も試作品を製作してはスクラップにし、
という繰り返しで1年間過ぎてしまいました。

この1年間に使用した試験研究費は1億円にのぼったとします。

そして、この会社の売上高は10億円、試験研究費を計上する前の
利益は1億円であったとします。

試験研究費は読んで字のごとく費用ですね。
そうなると利益からマイナスしなければなりません。

この期の損益は結局、利益ゼロとなってしまいました。

そして翌期は新製品開発が成功し、売上高も10億円から20億円に、
利益も試験研究費勘案前の1億円から2億円へ倍増したとします。

そうなると、前期の利益ゼロが悔やまれますよね。

少しでも翌期の利益が前期に計上できていれば、株主や金融機関へ
決算説明する際に苦労しなかったのに・・・等と。

そこで、それを可能にするのが「繰延資産」となります。

試験研究費は確かに支出した年の費用です。
支出した年の費用である以上、支出した年の損益計算書に費用として
計上するのが筋ですよね。

しかし、この費用は支出した年の売上には何ら貢献していません。

試験研究をした年の努力が翌年に花開き、翌年の売上増という結果を
もたらしたものなのです。

そういうことであれば、翌年の費用としたらどうだろうか?
翌年の費用に繰り延べられることはできないだろうか?
と考えることは不思議ではないですよね。

繰延資産というのは、まさに上記の考えに則った資産となります。

繰延資産の考え方についてご理解頂けましたでしょうか?

次回は『繰延資産Ⅱ』として、資産計上された繰延資産は
どのようになっていくのか?

また、どのようなものが繰延資産になるのか?について
お伝えしていきたいと思います。 お楽しみに!

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