『決算書理解講座11 繰延資産Ⅱ』
今回のテーマは
『決算書理解講座11 繰延資産Ⅱ』について
決算書理解講座10では『繰延資産Ⅰ』にて、繰延資産の考え方について
説明しましたが、今回の『繰延資産Ⅱ』では、資産計上された繰延資産は
どのようになっていくのか?また、どのようなものが繰延資産になるのか?
について書いてみたいと思います。
決算書理解講座10でA社には試験研究費という繰延資産が1億円
発生しました。
その繰延資産はどのようになっていくのでしょうか・・・
まずは、損益計算書を見てみると、試験研究費は支出した年の
損益計算書には計上しません。
その代わり、バランスシートへ計上されます。
たとえば、1億円の機械を購入したとします。
1億円という現金が無くなる代わりに、機械という資産が手に入ります。
1億円の現金が出て行って、その代わりに機械購入費という費用が
計上されている訳ではありません。
機械という資産がバランスシートに計上され、この機械は「減価償却費」という
手続きを経て少しずつ費用となっていきます。
繰延資産についてもこれと同じようにやっていきます。
1億円の現金が出て行って、その代わり、機械のように目に見えるものでは
ありませんが、試験研究費という資産を手に入れた、とするのです。
こうして、資産に計上された試験研究費は翌年になってその成果を反映した
売上高からマイナスしていきます。
最後に、機械と繰延資産(研究開発費)の根本的な違いですが、
機械はあくまでも財産であり、担保に入れることや下取りに出すことが
できます。
しかし、試験研究費は費用なので担保にも入れることができないし、
下取りにも出すことはできない点が大きな違いとなりますので
留意下さい。
計上された繰延資産はどうのようになっていくのか?について
ご理解頂けましたでしょうか?
次回からはバランスシート右側に移り、まずは『流動負債』について
お伝えしていきたいと思います。 お楽しみに!
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