『決算書理解講座22 損益計算書を読んでみる⑥』
今回のテーマは
『決算書理解講座22 損益計算書を読んでみる⑥』について
決算書理解講座21では『損益計算書を読んでみる⑤』で「特別損益・
税引き前損益」について説明しました。
今回は『損益計算書を読んでみる⑥』として、「損益計算書を見る際の
ポイント」について私が重要視している点について説明してみたいと
思います。
損益計算書を見る前に確認しておきたいこととして、
「社員さんは何人おられますか?」
と訊ねます。
そして、損益計算書を見る際に、まず最初に見る所は、売上高ではなく、
売上総利益(粗利)です。
その粗利額を社員の人数割りするといくらになるか?を重要なポイントと
して見ています。
例えば、社員10名の会社で月額の粗利が300万円だとすると、1人あたりの
月額粗利額は30万円となりますね。
社員さんへ支払う給料や経費は、この粗利額が源資となるため、その
バランスをまずは確認されると良いでしょう。
仮に一般管理費に占める人件費の割合を50%とするならば、この場合
1人あたり15万円以上給料を支払うと営業赤字となる可能性が大きくなる
ことを意味します。
1人あたりの粗利額が適正なのか?1人あたりの経費が適正なのか?
どちらかに変化を加えて行かなければ赤字が続き、企業を永続させることが
難しくなります。
但し、減価償却費(現金の出て行かない経費勘定)が大きい為に、営業赤字と
なっている場合は別です。
営業赤字となっている場合、よく「経費を更に圧縮して利益を出そう」と
努力されている企業が多いかと思いますが、もうこれ以上は難しい、という
声が多いのも事実です。
その場合は、1人あたりの粗利額を増やせる事業へ変化させる必要が
出てきます。
手元に資金がある間は、その資金を使い事業内容を変化させ、1人あたりの
粗利額(付加価値額)を上げる努力が必要となります。
資金が手元に無い場合でも、お金を使わずに1人あたりの付加価値額を
高める方法を考え、実行されている企業もあります。
何故、売上高を見ないのかと言うと、業種によって売上高の計上方法は
様々で、売上100億円を上げている会社でも、1人あたりの粗利額が小さく
赤字になっている会社もたくさんあるからです。
経営者は、様々な事業を行う中で、その事業で利益(付加価値)をどれだけ
出せるか、が経営力を図る物差しの1つとなります。
資産をたくさん持って利益を出す事業があれば、資産を持たなくても
利益を出せる事業もあるからです。
それと、物差しさえ持つことができれば、判断がしやすくなる、
とも考えています。
例えば、
1人あたりの粗利額は月額○○万円以上となる事業を目標にしよう・・・
人件費については粗利額の○○%としよう・・・
など。
これを、社員さんにも理解してもらいながら(情報開示)、事業を行うと、
どうなるか?
全ての会社とは言えませんが、考える組織(各人が自立する組織)へと
変わることも十分可能となります。
社長が1人で悩み考えるより、社員さんと共有し、知恵と実行力を付ける
仕組みです。
折角作る決算書をどのように活用するかもたいへん重要なポイントですね!
次回からは、「資金繰り」の説明に入って行いたいと思います。
お楽しみに!
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