『決算書理解講座30 資金繰り⑧』
今回のテーマは
『決算書理解講座30 資金繰り⑧』について
決算書理解講座29では『資金繰り⑦』として「商売で資金を
稼いでいるか」について説明しました。
今回は『資金繰り⑧』「赤ランプの見分け方」について
説明したいと思います。
(例題)
平成26年、ある会社が倒産しました。負債総額は280億円にも
のぼるという。
ところで、この会社の資金状況と見てみると、
平成23年 経常資金収支 10億円
平成24年 経常資金収支 ▲67億円
平成25年 経常資金収支 ▲40億円
この3年間で経常資金収支は「▲97億円」となっていたようです。
この資金不足をカバーするために
まず 借入 66億円
次に 増資 4億円
の「70億円」の資金調達に加え、手持ちの固定資産などを
処分して手当。
しかしながら、経常資金収支は改善せず、ついに倒産。
これが、この倒産会社の筋書きです。
会社を経営する以上、そもそもは経常資金収支で資金を
稼ぎ出すのが理想です。
経常資金収支がプラス、つまり、商売だけで資金を稼げる
のであれば、資金繰りで苦労することはありません。
したがって、資金繰りの読み方で大切なポイントは
①経常資金収支が黒字かどうか
をまずは見ることです。
そして、万が一赤字となっている場合は、
②過去3年間の経常資金収支の動きを探ること
にあります。
たまたま直近期だけ赤字なのか・・・
前期も前々期も赤字だとすると、要注意、危険な兆候、
と感じて下さい。
次に、経常資金収支の内容を確認します。
売上はそこそこ上がっているが、経常資金収支を悪化
させる原因に売掛金の増、受取手形の増、在庫増、経費増
といったところに潜んでいます。
また、これらの資金負担をやりくりするために支払手形を
増やし、手形を割引きしたりすることで資金繰りを回します。
それでもやりくりがつかない場合は、財務資金に依存、
借入金の増加、資産の売却という道を歩むこととなります。
このように資金の状況を判断していくのですが、資金繰りの
ポイントは何と言っても「経常資金収支」の状況がどうなのか?
という点を覚えて頂けると良いかと思います。
次回からは、「資金運用表」の説明に入って行きたいと
思います。お楽しみに!
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