『決算書理解講座34 資金運用表④』
今回のテーマは
『決算書理解講座34 資金運用表④』について
決算書理解講座33では『資産運用表③』で「資金運用表の作り方」
について説明しました。
今回は、『資金運用表④』として「資金運用表の読み方」について
説明したいと思います。
運転資金が余剰となるパターンや不足するパターンにはどのようなものが
あるでしょうか?
例えば、
売掛金などの回収が進み、買掛金などの支払いを遅らせれば
運転資金は楽になります。
一方、
売掛金が滞留し、買掛金の支払いを督促されて早く支払えば
運転資金は苦しくなります。
これらの「余剰」「不足」の要因を全て網羅してると、
【余剰】
・資産減少+負債増加
・資産減少>負債減少
・資産増加<負債増加
【不足】
・資産増加+負債減少
・資産減少<負債減少
・資産増加>負債増加
となります。
先程、例えで挙げたケースは「資産減少+負債増加」となるので運転資金の
余剰=楽になる、となります。
固定資金についても同様となります。
それでは、次のような事例の場合、どう読むかについて見てみましょう。
<事例>
現預金減少 5百万円(運転資金不足35百万円、固定資金余剰30百万円)
【運転資金】
受取手形増加240百万円、売掛金増加170百万円、在庫増加30百万円
計440百万円
支払手形増加170百万円、手形割引増加160百万円、買掛金増加50百万円
計405百万円
受取手形、売掛金、在庫の資産がそれぞれ増えた結果、資金圧迫の原因と
なったが、それを、手形を振出し、受取手形の一部を割引き、買掛金を
増やしてしのいできたが、それでも35百万円ショートした、ということが
読めます。
【固定資金】
有形固定資産増加40百万円 計40百万円
長期借入金増加20百万円、資本金増加30百万円、余剰金増加20百万円
計70百万円
資産の増加分は増資と利益の範囲内に抑えられ、また、長期借入金も増やした
結果、固定資金はかなり余裕のある形となり30百万円の余剰となった、と
読むことができます。
運転資金の不足は、
売掛金増や在庫蔵などの資金減の要因が、支払手形増や割引手形増の
資金増の要因を上回ったこと。
固定資金の余剰は、
資産が増えて資金減の要因となったが、長期借入金や増資、利益で
それを補い、固定資金としては余剰が生じたこと。
となります。
会社が発展していく限り、どうしても運転資金は不足しがちとなりますが、
自己資金の範囲内で設備投資を行い、固定資金の余剰を運転資金に回している、
と考えると資金繰りはまずまず順調にいっているとも考えられます。
ご理解頂けましたでしょうか?
今回で「資金繰り関係」の説明は終え、次回からは「決算書・申告書の
読み方ポイント」に入っていきたいと思います。
ちなみに次回は、「利益と所得の違い」の説明を予定しています。
お楽しみに!
この記事へのコメントはありません。