『決算書理解講座35 決算書・申告書の読み方ポイント①』
今回のテーマは
『決算書理解講座35
決算書・申告書の読み方ポイント①』について
決算書理科講座34では「資金運用表の読み方」について
説明し、資金繰り関係の説明を終了しました。
今回からは、『決算書・申告書の読み方ポイント』に入り、
まずは「利益と所得の違い」について説明したいと思います。
法人税は会社が計上した利益に対して課税されます。
したがって、利益をたくさん稼いだ会社は、「それだけ法人税の
負担金額が大きくなる」という理屈になります。
この法人税の対象となる利益のことを法人税では利益と呼ばず、
『所得』と呼びます。(表現の相違に留意下さい)
会社の損益計算上目的とする利益の表現方法は
利益=収益-費用
となりますが、法人税では
所得=益金-損金
となります。
一見、似ているようですが、似ていない微妙な違いがあることを
まずはご理解下さい。
具体的に何が違うのかについて見てみましょう。
例えば、売上高100百万円、売上原価60百万円、経費30百万円
(人件費20、交通費10)、利益10百万円(100-60-30)の会社が
あったとします。
①利益=収益-費用・・・10=100-90
②所得=益金-損金・・・10=100-90
となり、「利益=所得」となります。
しかし、交通費の10百万円が交際費10百万円(交際費の損金算入
限度額が4百万円とした場合)はどうなるでしょう?
①利益=収益-費用・・・10=100-90
②所得=益金-損金・・・16=100-84
となり、利益と所得のバランスが崩れました。
その原因は交際費にあるのですが、この会社は10の交際費を
支出しました。
けれども、法人税はその内4だけを損金として認め、残りの6は
損金と見做さない、となっています。
その結果、利益10≠所得16となりました。
これらの例から法人税の基本的な考え方がご理解頂けるのでは
ないでしょうか。
①法人税の所得計算はあくまでも会社の損益計算にあること。
②但し、法人税には独特の取り決めがあり、会社の損益計算の
取り決めと食い違った場合には、その調整を行わなければ
ならないこと。
となります。
ご理解頂けましたでしょうか?
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