『決算書理解講座37 決算書・申告書の読み方ポイント③』
今回のテーマは
『決算書理解講座37
決算書・申告書の読み方ポイント③』について
決算書理解講座36では「損益不算入」について説明しました。
今回は、『決算書・申告書の読み方ポイント③』として「損益算入」
について説明したいと思います。
「損金不算入」では、会社が費用として計上しても、法人税のうえでは
損金とならないものがあることをお伝えしました。
今回説明する「損金算入」とは、会社が経費として計上しなくても、
法人税の上では損金となるもののことを言います。
例えば、2泊3日の社員旅行へ行き、総額1,000万円の費用がかかって
しまった。
会社はこの経費を一旦、福利厚生費で処理しようとしたが、当期の業績が
芳しくなくこのまま行けば損益は若干の黒字、1,000万円の福利厚生費を
費用として計上すれば赤字となってしまう。
そこで、この旅費を福利厚生費とせず、仮払金として資産に計上。
ただ、法人税の計算を行う段になり、会社はハタと困りました。
当期の福利厚生費を計上しなかったおかげで若干の黒字を計上することは
できたが、利益が出たおかげで今度は法人税や住民税などの問題が
発生してしまった。
さて、どうしたものか??しかし、大丈夫です。
当期に使った様々な経費は、法人税上、損金不算入の対象とならない限り、
全て損金となります。
福利厚生費はあくまでも福利厚生費という費用であり、法人税上は
損金でもあります。
それをたまたま会社が資産計上したのであれば、法人税を計算する
うえでは「損金算入」、すなわち、会社が費用といて計上していなくても、
法人税のうえでは損金となるもの、に該当します。
このような会計処理がされているケースもありうる、と考えると、
決算書を見る立場の方は、仮払金という資産が登場した際は、
どのような内容なのかにも気を付けて見ておく必要がある、
ということにも触れておきたいと思います。
「損金算入」にはこのように資産計上した費用以外にも、欠損金の
繰越控除や特別控除などでも認められています。
ご理解頂けましたでしょうか?
次回は「益金不算入」について説明したいと思います。
お楽しみに!
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