『融資の知識を身につけよう
~融資の種類と意味~』
今回から新しいテーマ
『融資の知識を身につけよう』シリーズをスタート致します。
金融機関と融資の話をする際や取引先からの売上回収金をどう管理するか、
といった場面などで参考になるようだと嬉しく思います。
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それでは、第1回目のテーマ
「融資の種類と意味」について説明していきます。
融資の種類には、手形貸付、証書貸付、商業手形(割引)、当座貸越などがあり、まずは各形態の
内容について見てみましょう。
1.手形貸付
手形貸付とは、貸付にあたってその証拠及び債権確保の手段として、貸出先が振出人、債権者が
受取人となり、貸付額と同額の約束手形を債権者に渡し融資する方法。
法的には、金銭消費貸借となりますが、手形でやり取りするため手形債権と民法上の消費貸借債権(貸付債権)とが併存します。
債権者としては、どちらの債権によっても債務者に対して請求することが可能。
<金融機関から融資を受ける際の利用範囲>
主に期間1年以内で期限一括返済の融資を受ける際に使われます。
後で説明する証書貸付と比べ、印紙代が低いとったメリットがあります。
<資金使途>
主に運転資金として融資を受ける場合に使われます。
経常運転資金、増加運転資金、決算賞与資金、季節資金、滞貨減産資金など、
短期の融資を受ける場合が多い。
2.証書貸付
証書貸付とは、貸付にあたってその証拠及び債権確保の手段として借入証書(金銭消費貸借約定書)
を用いる融資する方法。
法的には金銭消費貸借で、借入証書は私人である契約当事者が作成した私的証書となります。
※私署証書に対して「公正証書」というものがありますが、これは、公証人が公証人法に定める
手続きを経て作成する証書のことを言います。公正証書は強い証拠力を有し、返済が滞った
場面などでは、債務名義人として公証人から執行分の付与を受け、直ちに債務者の一般財産に
強制執行することができる。
<金融機関から融資を受ける際の利用範囲>
長期、短期いずれの資金にも使われます。借入条件等の細かい取り決めを証書面に記入する
ことができることから、長期の融資(1年超)に向いています。
<資金使途>
手形貸付に記載した運転資金以外にも、設備資金としても多く利用されています。
新規設備資金、増設資金、改良補修資金、土地購入資金などがあります。
3.商業手形(割引)
商業手形とは、商品の売買など実際の商取引に基づいて振り出された手形のことで、商業手形の
割引とは、手形の金額から手形期日までの利息(割引料)を差し引いた金額で金融機関などが
買い取り、手形期日には支払人からその手形の支払いを受けることを言います。
資金使途としては、主に運転資金として利用されます。
※商業手形と融通手形
融通手形とは、商取引の裏付けなしに振り出された金融調達を目的とする手形のことを言います。
商業手形の場合、購入した商品などを売却しその代金を手形の決済資金に充当する性質のもの
ですが、商取引の裏付けがないということは、決済資金の引当がないことにもなり、決済されない
懸念がある点に留意しておく必要があります。
4.当座貸越
当座取引とは、金融機関と当座取引先との間で締結する「当座貸越契約」に基づき、当座預金の
残高を超えて振り出された小切手・手形の決済不足資金を金融機関が一定限度額まで立替払い
することで行う融資のこと。
融資の対価として当座貸越利息が発生します。
5.まとめ
融資の種類については、聞いたことがある・・・と言う方が多いかと思いますが、その違いについて
理解されている・・・という方は意外と少ないのではないでしょうか?
金融機関の方と融資の話をする際のネタとして話題に出してみるのも良いかもしれません。
「良く知ってますね」とビックリされるかもですよ!
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