『融資の知識を身につけよう
~企業実態把握 ヒト(経営)編~』
融資を検討する金融機関は企業のどのような所を見ているのか気になる所ですね。
基本的には「ヒト・モノ・カネ」についてそれぞれ分析し、融資を検討する形となります。
そこで今回は、「ヒト(経営)」について、金融機関はどのような所を見ているのか書いてみたいと思います。
1.業歴
<チェックポイント>
・営業基盤の安定度
・企業、取扱品の社会的信用度
・技術、ノウハウ、利益の蓄積度 など
業歴の長い企業ほど、様々な経験を有しています。例えば、オイルショックやバブル崩壊を乗り越えた企業は、世の中が大きく変化しても耐えられるだけのノウハウを持っているのではないか?といった見方をされるケースがあります。
業歴の長い企業は、様々な出来事の中で企業をどう存続、発展させてきたか、といった点をPRすることはとても大切なこととなります。
2. 環境変化への対応
<チェックポイント>
・設備、研究開発費等の投資
・事業内容や業態の変化
・事業の多角化
・逆境時の対応 など
企業を取り巻く事業環境は常に変化しています。企業は収益を確保し、永続しようと環境の変化に順応した事業内容の見直しなどを行いながら企業を成長・発展させていきます。
業歴の部分とも重なりますが、環境の変化に対しどのように対応してきたか、といった点はPRの材料にもなりますので、しっかり説明しておくと良いかと思います。
3.創業・設立時の事情や現状
<チェックポイント>
・創業設立時の動機や経緯
・創業設立時の経営形態及び経営形態の変遷
・創業設立者と現経営者との関係 など
企業が何を狙いとして事業をスタートさせたのか、また、事業化するに際し、どのような人材・設備・資金・技術などを経営資源として利用してきたのか、といった点などをチェックしていることがあります。
4.系列関係・業界地位
<チェックポイント>
・株主比率から見た親会社はあるのか
・親会社との繋がりはどの程度あるのか
・生産高、販売高での市場占有率
・企業の世評 など
系列関係では、親会社が信用力のある大会社だった場合、業績不振でも親会社から支援を仰げる体制になっていれば、信用補完の材料となり融資が出やすくなる、といったケースがあります。
業界地位では、市場占有率や価格支配力がどの程度あるのか、といった点を見ています。
例えば、市場占有率が低い企業は、先行する企業のシェアを崩すために商品の特性を出すとか、新たな需要を起こすための戦略を練る必要があります。
具体的な戦略をしっかり説明することも大切なポイントとなります。
5.経営者・経営形態
<チェックポイント>
・実権者、補佐役
・資質、人柄
・経営手腕、仕振り
・部門間バランス
・管理体制 など
環境の変化に対応し、限られた経営資源を有効に活用し、資金を投入して企業を成長・発展させていくのが経営者のミッションです。
よって、経営に対する考え方や人となり、取引先や同業者、役員など、様々な所からヒヤリングを行い、経営者の人物像、経営手腕などを客観的に判断し、融資の検討材料として使われるケースもあります。
経営形態では、経営の進め方がワンマン経営なのか、組織で動く経営なのか、といった点をチェックされることが多い。また、実権者は誰なのか、役員陣の顔ぶれは同族なのか、同族以外なのか、といった全体のバランスをチェックしていることがあります。
6.まとめ
ヒト(経営)についてまとめてみると、融資の検討に際しこんな所まで見られているのか・・・ と思われた方も少なくはないかと思います。
一方、企業の強みを説明する際には、これらのチェックポイントを頭に入れて整理すると、PRすべき内容がハッキリしてくることもあります。
ヒト(経営)の評価は数字で表せる部分が少ない分、しっかり説明しておくことが大切だと思料します。
皆さんも、頭の整理に一度、ヒト(経営)の自社分析をしてみるもの良いかもですよ!
この記事へのコメントはありません。