『融資の知識を身につけよう
~企業実態把握 モノ(営業)編~』
「モノ(営業)」と言えば製品(商品)を思い浮かべる方が多いと思いますが、金融機関が見る
「モノ」には、製品(商品)以外にも実はいろいろあるんです。
そこで今回は、「モノ(営業)」について、金融機関はどのような所を見ているのか?について
書いてみたいと思います。
1.仕入先
<チェックポイント>
・主要仕入先からの仕入品目、仕入額
・仕入先、外注先の銘柄
・仕入先との力関係及び親疎度
・仕入決済条件 など
効率的な生産を行い、製品を円滑に販売先に納入するためには、原材料・部品などの供給について、
質、量、価格面で安定した仕入先、外注先を持っているのか?といった点にチェックが入ります。
原材料の価格変動が激しいものなどは、仕入先が安定して商品を供給できなければ、その企業の
命運を左右することにもなりかねないため、注視しているケースが多い。
仕入の決済条件では、企業の資金繰りと大きく関わってくることや、仕入先との力関係が弱く、
悪い条件で仕入を行っているのでは?などを見られたりすることがあります。
2.販売先
<チェックポイント>
・主要販売先への販売品目、販売網、販売シェア
・業態別販売先の構成
・売上回収条件 など
主要販売先が大手の一流企業であれば、安定して商品を買い上げてくれたり、代金の回収も確実に
支払ってくれるなど、商品を安定して捌けるといった評価に繋がるケースがあります。
一方、大手の一流企業との間では、力関係で販売価格を低く押さえられたりしているケースもある
ので、実態はどうなっているのか、について分析されます。
また、販売先の信用力を調べ、売上代金の回収が問題なくできるか?といった点はよく調べている
ので、信用力の低い販売先が多い場合は、1社に偏らず分散しておいた方が自社の与信上も良い。
仕入の決済条件でも述べましたが、売上回収条件でも、条件次第で企業の資金繰りが大きく変わる
ので、回収条件はできるだけ短く、支払条件はできるだけ長く、といった形ができると資金繰りも楽になります。
3.主要製品(商品)
<チェックポイント>
・主要製品(商品)の品名、品目
・平均単価
・特徴、主用途、市場占有率
・競合先 など
主要製品(商品)にはどんな特色があるのか?競合先との違いは何なのか?といった点を見られます。
企業側としては、自社製品(商品)の強みをわかりやすく説明しておくことは何よりも大切なポイントです。
また、市場占有率の説明などができると、その業界での地位を理解している企業だと評価されることもあります。
自社の立ち位置を理解し、どのような戦略を立て、占有率や地位を高めていくのか、といった点の
説明も併せてできると良いでしょう。
4.まとめ
金融機関は金融・財務のプロですが、業界のことやその製品(商品)の魅力、価値などについては、
理解してもらいにくい分野でもあります。
金融機関の担当者が「モノ」の強みを上司や審査部に説明し、説得してもらえる材料をできるだけ
わかりやすくまとめておくことは重要だと思料します。
企業側にとっても、これらを理解しておかないと、戦略がブレてしまうことにも繋がりかねません。
支払条件・回収条件については「カネ」の分野にも繋がりますが、企業の資金繰りに大きな影響を
与えるので、自社の担当者とも目線を合わせ、交渉できる体制づくりも併せて行っておきたい所ですね!
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