『融資の知識を身につけよう
~純資産(資本)を見る~』
貸借対照表(バランスシート)の右側となるお金の出どころで重要なポイントとなるのが
「純資産(資本)の部」。
その中で特に重要視されるのが「利益剰余金」 という項目。
利益剰余金は何故重要視されるのか?
利益剰余金はこれまでの会社の儲けの中から会社の内部に積み立てている部分、つまり
貯蓄している部分となります。
但し、家庭の貯蓄と違い、剰余金が現金で残っているとは限らず、土地や建物といった
資産になっていることが多い点には注意して下さい。
利益剰余金の数字は、過去の儲けがどれくらいあるのか、を知る数字となります。
この金額が大きい会社は、これまでの事業において優秀な成績、成長を納めてきたと
言えます。
会社の実力や体力を見る場合、変化のスピードが速いこの時代において、利益剰余金の
蓄えが重要であると考えられます。
この利益剰余金ですが、過去の税引後純利益が蓄積されたもの=税金を払わないと蓄積
されない数字、となっている点もご理解頂けると良いかと思います。
自己資本比率
金融機関が「実力や体力のある会社かどうか」を判断する数字に「自己資本比率」という
ものがあります。
自己資本比率は、純資産(資本)の部が総資産に対して占める割合を言います。
例えば、純資産(資本)の部が3,000万円、総資産が1億円となっている会社の
自己資本比率は30%となります。
自己資本比率がどの程度あると良いのかについては、営む事業(業種)によって異なります。
例えば、不動産、工場などの固定資産を持って事業を行う業種(不動産賃貸業、旅館業、
製造業など)の場合、どうしても資産が膨らむので自己資本比率は高くなりにくくなります。
一方、固定資産などを持たずに事業を行う業種(弁護士や税理士などの士業、コンサルティング業など)
は、資産を持たずにできる事業のため、自己資本比率は高くなりやすいといった点の違いがあります。
とは言え、一般的には、自己資本比率が40%以上あると潰れにくい会社と見られる点は頭に入れて
おくと良いでしょう。(あくまでも理想ですが・・・)
まとめ
貸借対照表(バランスシート)を見る時、①総資産の額 ②その内、負債の占める額
③純資産(自己資本)の内容 を見ていく形となりますが、純資産(自己資本)の中では特に
「利益剰余金」の額が重要となります。
業歴20年、利益剰余金が1億円の会社があれば、年平均500万円の税引後利益を出してきた会社、
と見ることができます。
中小企業の場合、キャッシュフロー(資金繰り)を重要視するあまり、節税などを行い、この利益剰余金
があまり貯まっていないケースが多い。
しかし、融資の関しては、代表者個人の資産なども純資産(自己資本)に加味した上で判断してもらえる
ので、個人資産の情報開示も必要になる点は頭に入れておいて下さい。
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