『中小企業の資金調達に大きな変化が起こる?』
財務面の信用力が低い中小企業では、日本政策金融公庫や中小企業信用保証協会の保証付き融資といった国の信用を借りた資金調達が多い。
その中で、中小企業信用保証協会の融資残高は2014年度末時点で27.7兆円(約140万社が利用)あるが、保証協会が代位弁済した金額は徴収した保証料を上回る状態が続いている。
そこで、経済産業省は信用保証制度を見直す方向で動いており、中小企業の資金調達に大きな影響を与える可能性が出てきている。
責任共有制度の在り方(「一律8割」の取扱い)
<現状>
平成19年に責任共有制度として、一律で金融機関が20%のリスクを負担する制度が導入された。(例外として、創業支援や小口零細支援等は100%保証を維持)
100%保証の場合と比べ、一部において金融機関から適切にモニタリング・経営支援がなされないために事業者が経営改善の努力を怠るといった事態の抑制に一定の効果があった。
なお、導入後間もなく、平成20年からリーマンショックへの対応のためセーフティネット保証5号(100%保証)の対象業種を拡大して対応。
このため責任共有制度導入後も100%保証が大宗を占める状況が続いていた。
リーマンショックが去り、平成24年11月以降、100%保証の対象業種を段階的に平時の状況に戻したこと等により、現在になって漸く責任共有制度が中心となりつつある。
<制度見直しが検討されている内容>
保証割合を一律8割とするのではなく、創業期、成長期、成熟期、再生期といった企業のライフステージにおいて、金融機関と保証協会が適切なリスクシェアリングの下で支援の目線を合わせる。
例えば、創業期には手厚く支援し、成長とともに徐々に保証利用を減らして金融機関の責任割合を高め、最終的には保証からの卒業を目指す形とすることで、事業者と金融機関がともに経営改善に取り組み続けるためのインセンティブを持たせる仕組みとすることについては、概ね合意が得られたのではないか。
(制度上は一律で8割となっているものの、既に一部現場においては保証付き融資とプロパー融資が協調する形で、事実上柔軟な責任割合の設定が行われていることが確認された。)
今後、以下のような点について詳細を検討していくべきではないか。
①企業のライフステージや資金規模、業況、業歴等に応じた保証の実態(代位弁済の状況等)
②保証付き融資とプロパー融資を協調して実施する場合における各保証協会の取組の状況
③海外の保証制度における事例
④中小企業の実態、環境変化の影響等(例えば、事業者の中には中堅企業化・株式上場といった「成長発展」を目指す者もあれば、生業維持を目的とした「持続的発展」を目指す者もあること。特に小規模の場合、成熟期にあっても主要取引先の受注減少等により経営状況が急変するといった性質等)
⑤分かりやすさ、利用しやすさ、保証協会の現場裁量 等
なお、事業者の経営努力・金融機関の支援等を前提としつつ、市場原理だけでは十分に資金が行き渡らない創業期や小口向け等には、政策的意義も含め、引き続き「100%保証」が必要ではないか。
地域経済の特徴等へのバランスをとりながら、原則として全国の保証協会において公平に取組が行われるように、国が弾力化された保証割合の運用等に関する一定のルールを整備するとともに、情報開示やフォローアップ等を通じてガバナンスを確保するべきではないか。
また、保証を利用する金融機関・事業者の取り組み状況をモニタリングし、事業者も自ら経営改善のインセンティブが働く仕組みの導入を検討するべきではないか。
まとめ
信用保証制度を一律80%保証から企業の成長段階に応じて保証率を5~8割程度に区分する方向で検討されているようです。
中小企業は今まで以上に経営面や財務面できちっとした資料を提出しないと、資金調達が難しくなる可能性が出てきます。
中小企業にとっては頭に入れておきたい情報であり、今後の動向にも注視していきたい内容です。
弊社は、経営面、財務面などで中小企業をサポート致します。気軽にご相談下さい!
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