『復興への課題と支援策
~産業・なりわいの再生~』
東日本大震災からはや5年が経ちました。
復興庁は「新しい東北」の創造を掲げ、復興の現状と課題を2015年9月に発表しています。
そこで今回は、「産業・なりわいの再生」にフォーカスし、復興庁の基本的な考え方や支援内容について見てみたいと思います。
産業・なりわいの再生
・地域資源の魅力を活かした新商品の開発やブランド化
・民間のノウハウを活用した販路の開拓
・魅力的な商品の海外展開や外国人観光客の誘客推進
・将来にわたり地域産業を支えていく人材の育成 等
を基本的な考えに置き、推進に向けた方針として
【先導的な取り組みの加速化とその横展開】
・被災地で進む先導的な取り組みを支援し「モデル」をつくる。
・「モデル」を活用して新たな取組を実施する自治体にきめ細かな支援。
【民間の人材・ノウハウ・資金の活用】
・民間(企業・大学・NPO等)の人材・ノウハウ・資金等の「リソース」が被災地で効果的に活用されるよう、マッチングの仕組みをつくり、人やノウハウを提供。
【状況共有・マッチングに向けた場づくり】
・様々な団体・企業のニーズを「見える化」し、関係者間で共有。新たな連携のきっかけとなる場を提供。
を掲げています。
平成28年度予算での主な支援内容
自立的な地域経済の再生に向け、販路の回復や観光復興に向けた取組を強化するとともに、企業立地による雇用の創出や商業回復、人手不足への対応を推進するとしています。
<主な事業>
■災害関連融資:243億円
被災した中小企業、農林漁業者等の復旧・復興の取組に対して低利融資等を行うため、株式会社日本政策金融公庫等に対し財政支援を実施。
■東日本大震災農業生産対策交付金:33億円
東日本大震災からの本格復興に向け、早急に生産力、販売力を回復する産地の取組や共同利用施設の復旧等を支援。
■復興水産加工業等販路回復促進事業:18億円
被災地の水産加工業の販路回復のための個別指導、セミナー等の開催、販路回復等に必要な加工機器の整備等を支援。
■観光復興関連事業:50億円
被災地の風評被害を払拭し、東北観光復興を実現するため、地域からの発案に基づいたインバウンドを呼び込む取組や東北ブランドの発信強化、福島県の観光振興等を支援するとともに、東北への交流人口を拡大する先駆的なモデルケースを創出。
■中小企業組合等共同施設等災害復旧事業:290億円
岩手県、宮城県、福島県の津波浸水地域及び福島県の避難指示区域等を対象に、被災中小企業者等の施設復旧等を支援。なお、従前の施設等の復旧では売上回復等が困難な場合には、これに代えて、新分野需要開拓等を見据えた新たな取組(新商品・サービスの開発等)を引き続き支援。
■自立・帰還支援雇用創出企業立地補助金<新規>:320億円
津波・原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助金の申請期間等を延長するとともに、自立・帰還を加速するために新たな企業立地補助金を創設。
■イノベーション・コースト構想関連事業 <新規>:145 億円
ロボットテストフィールド、共同利用施設(ロボット技術開発等関連)及び水産試験研究拠点の整備のほか、浜通りの地域振興に資する実用化開発等を支援。
■原子力災害による被災事業者の自立支援事業 <新規>:13 億円
官民合同チームの活動結果を受け、人材マッチング、6次産業化等に向けた事業者間マッチング、商工会等の広域連携等を支援。
(注)補正予算案で、専門家による個別訪問支援、中小事業者等の事業再開等支援、需要を喚起する取組に交付金を交付(228 億円)。
■事業復興型雇用創出事業:41億円
被災地の安定的な雇用の創出を行うため、雇用のミスマッチ分野等の中小企業に対して産業政策と一体となった雇用支援を実施。
■原子力災害対応雇用支援事業<新規>:42億円
福島県における風評被害対策その他の原子力事故災害特有の課題に対応するとともに、被災者に対して短期の就業機会を創出。
■復興特区支援利子補給金:19億円
復興特区において復興の中核となる事業の実施者に必要な資金を貸し付ける場合に、金融機関に対し利子補給金を支給。
などがあります。
新規事業として、「自立・帰還支援雇用創出企業立地補助金」「イノベーション・コースト構想関連事業」「原子力災害による被災事業者の自立支援事業」「原子力災害対応雇用支援事業」の4つが加わっています。
自立・帰還支援雇用創出企業立地補助金
ここでは、新規事業の目玉の1つである「自立・帰還支援雇用創出企業立地補助金」の概略について見てみましょう。
【対象地域】 12市町村の避難指示区域等
【対象経費】 用地の取得、建設から設備設置までの初期の立地経費等
【交付要件】 投資額に応じた一定の雇用創出など
【実施期限】 申請期限:30年度末まで。運用期限:32年度末まで。
※津波・原子力災害被災地雇用創出企業立地補助金については、30年度末まで制度を延長。
~製造・サービス業等立地支援事業~
<対象業種>
製造業、卸・小売業、飲食サービス業、生活関連サービス業等
<対象施設>
工場、物流施設、試験研究施設、機械設備、店舗、社宅、その他施設等
<補助率>
①避難指示区域、解除後1年までの避難解除区域
中小企業 3/4以内、大企業 2/3以内
②避難解除区域等
中小企業 2/3以内、大企業 1/2以内
~商業施設等立地支援事業~
<対象施設>
商業施設(公設型、民設共同型)
<補助率>
①避難指示区域、避難解除区域等
自治体、民間事業者等 3/4以内
となっています。
まとめ
被災地で新規事業を行い、地元の雇用創出へ繋げたいと考える経営者にとっては、押させておきたい情報となっています。
被災地の復興、日本経済の活性化には、このような資金を活用する勇気と運用力が試されます。
新規事業のネタを探しておられる企業など、弊社でも相談をお受けしてますので気軽にご相談下さい!
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