『融資の知識を身につけよう
~運転資金の種類~』
運転資金にもいろんな種類があることをご存知でしょうか?
今回は運転資金の種類とその内容について説明したいと思います。
経常運転資金
企業がその活動を続ける上で恒常的に必要となる運転資金を「経常運転資金」といいます。
「売上債権+在庫-仕入債務」で求めることができますが、正確な所要運転資金を算出するには、回収・支払条件、在庫の手持機関などを把握し、売上債権、在庫、仕入債務のあるべき月末残高を算出していく必要があります。
経常運転資金の調達方法は、受取手形の割引か手形借入で行う場合が多く、また、資金繰りに余裕を持たせるため、一部を長期借入としている場合もあります。
一方、返済引当は売上代金となります。つまり、経常運転資金は売上債権、在庫によって資金需要が発生するため、これらの資金の回収によって返済となります。
増加運転資金
売上高の増加や回収・支払条件、在庫の手持期間の変化に伴って生じる所要運転資金の増加分を「増加運転資金」といいます。
実際の営業活動では、売上の増加と取引条件の変更が錯綜した形で増加運転資金需要が発生します。
増加運転資金で融資の申し込みをした場合、売上債権、在庫、仕入債務の増減が売上増加、取引条件変更のペースに見合ったものかを見られることとなります。
季節資金
売上が季節によって大きく左右される場合には、月次の資金繰りも月毎に大きく異なってきます。
例えば、秋冬物衣料が小売店の店頭に並ぶのは9月以降ぐらいですが、メーカーとしては、それ以前に5月から8月にかけて生産を行います。
この期間は仕込期間であり、在庫資金、仕入決済資金が必要となってきます。この時点では製品の販売は未だであり、売上代金の回収をもって支払資金に充当することができないため借入が必要となります。これが季節資金となります。
通常、製品の製造に要する資金の支払は借入にて行い、数カ月後に製品の売上代金として回収した受取手形を手形割引に回すことにより手形借入を返済。手形の期日到来により割引手形が落ち込み、当初の状態に戻るといった感じになります。
決算資金・賞与資金
企業は決算の結果、納税や役員賞与の支払を行いますが、この資金を「決算資金」といいます。
1年間の経営活動によって得た利益の中から決算資金が支払われる訳なので本来、支払のための資金調達は不要なのですが、企業はその利益を手持資金として持っているとは限らず、決算資金として別途資金を調達することがあります。
賞与資金は夏季、冬季の年2回、従業員への賞与を支払うために生じる資金をいいます。
減産・赤字資金
売上が減少した場合、減少運資型の企業では、運転資金需要が典型的に現れますが、その他の企業でも減産すれば通常は資金需要が発生します。
減産に入る段階では、既に売上が伸び悩みを見せており、まずは在庫が増加してくる形となります。この在庫増加部分は生産或いは仕入を抑えることで減らしていきますが、生産、仕入を減らすと次の段階として操業度低下、扱い量の減少という事態となります。
一方、人件費などの固定費は従来と変わらないため、生産を続けても採算割れとなり赤字が累積していくこととなります。その結果、在庫のための資金と赤字を補てんする資金が必要となる構図です。
このような資金は、後ろ向きな資金となるため、金融機関も融資に慎重な姿勢を見せることが多くなります。
内部留保利益の取り崩しや含み資産(遊休資産)の処分を返済計画に折り込む形も場合によっては必要となります。
まとめ
運転資金にも様々な種類があることをご理解頂けましたでしょうか?
融資を申し込む際、なぜ、資金が必要となるのかを数字も入れて説明していくことが重要となります。
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