『地方大学発ベンチャー支援
~地方銀行の取り組み~』
大阪大学や京都大学などが設立した大学発ベンチャーファンドは国の補助金を得て大学が投資する形となっているが、地方大学発のベンチャーファンドでは地方銀行が資金の出し手の中心となり組成するケースが多い。
その背景には、日銀のマイナス金利政策で地方銀行が新たな投融資先の開拓を迫られている事情がある。
そこで今回は、地方銀行が資金の出し手となっている大学発ベンチャーファンドについて少し見てみたいと思います。
しまね大学発・とっとり大学発・産学連携ファンド
山陰合同銀行が中心となり、「しまね大学発・産学連携ファンド」として10億2,000万円、「とっとり大学発・産学連携ファンド」として10億2,000万円を設立。
各大学の研究シーズを基にした起業を支援。
いよぎん愛媛大学発ベンチャー応援ファンド
伊予銀行は、いよぎんキャピタルと愛媛大学発ベンチャーを支援するファンドを設立。ファンド総額は1億円。
ファンド運用期間10年、最大出資額500万円/社とし、アーリーステージにある愛媛大学発ベンチャー企業を支援。
QB第一号ファンド
西日本シティ銀行は、産学連携機構九州(九大TLO)と共同でQB第一号ファンドを設立。ファンド総額は約30億円。
このファンドでは、九州大学が有する研究成果などの知的財産と、九大 TLO、地域の事業会社および銀行が有する様々なノウハウを融合させ、大学の技術シーズを創業前から成長段階まで一気通貫で支援する。
まとめ
経済産業省によると、2015年の大学発ベンチャー数は1,773社と前年比+24社と増えている。
一方、銀行は中小企業向け融資だけでは飯が食えない状況となっており、特に地方を中心とする地方銀行は新たな資金運用を考える必要に迫られている。
大学発ベンチャーへの投資は、ベンチャーとあるようにシードやアーリーステージ案件への投資が主体となるため、投資した資金が最終的に利益となってファンドに戻ってくる形をつくれるかも重要なポイントとなる。
新たな産業の育成は我が国にとって最重要課題であり、リスクマネーを上手く運用できるよう民間の力が試される時だと思料します。
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