『規制緩和で農業の活性化~金融機関の参入~』
三井住友銀行は秋田県で農業法人を設立すると発表。政府は農業の規制緩和を進めており、
農地の集約化や大型化が進むことが予想されます。
農業は金融機関にとってあらたな融資先となる可能性があり、単に融資をするだけでなく、
自ら農業に参入することでノウハウを吸収し市場の拡大を狙う。
規制緩和で金融機関も一般事業を兼業
三井住友銀行は、秋田県の有力農業法人や秋田銀行などとの共同出資で「農地所有適格法人」
を立ち上げ、農家から農作業を受託したり、農地を借りて農作物の生産を行う。
出資比率は銀行法の上限となる5%しか持てないが、事業全体を主導するとしている。
2016年4月に改正農地法が施行され、企業が農業に参入するための条件が緩和。
一定の条件を満たした農地所有適格法人であれば、農地を所有して農業を行うことが可能で、
多くの企業が農業への参入を検討している。
本来は融資が本業である金融機関が、直接農業に乗り出すというのは初めてのケースとなる。
金融機関は、自らが一般事業を行ってしまうと、融資業務との利益相反が起こる可能性があることから、
金融機関による一般事業の兼業は法律でも禁止されていました。
それが規制緩和の流れから、現在では異業種参入そのものは可能となったことも背景にある。
農業法人設立の狙い
三井住友行が直接農業事業に乗り出す要因として、今後の新しい融資先として有望なマーケットと判断し、
融資に必要なノウハウをできるだけ早く吸収する狙いがあると言われている。
ただ、農業が今後、融資先として巨大市場に成長するのかどうかはまだ道筋がついていないのが現状。
農業の法人化で市場が拡大していくかどうかにも注目が集まる。
日本の農業向け融資は約5兆円で、その9割近くを農協(JA)や政府系金融機関が占める。
こうした閉鎖的な状況を打破し、金融市場が活性化するという効果にも期待が集まる。
農業関連融資の増加~佐賀県~
日本政策金融公庫佐賀支店は、農林水産事業の2015年度県内融資実績を発表している。
その内容によると、融資額は49億1,000万円と、2008年の公庫発足以来最高額となった。
このうち農業分野融資額は前年度比6億8,000万円増の44億3,000万円で、
TPP(環太平洋連携協定)を見据えた規模拡大や新規就農者への支援が融資額を押し上げた模様。
まとめ
メガバンクによる農業参入のニュースには驚きましたが、新たな資金需要を自ら耕すという動きは
業界にとっても非常に良い効果が出るのではないかと思料します。
日銀によるマイナス金利政策も後押ししているのかもしれません。
財務(決算書)や担保(保全)だけでなく、成長産業として期待される事業のノウハウを吸収し、
融資に繋がるようになっていけば、日本の新たなエンジンを創り出す追い風になるのではと期待も膨らみます。
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