『次世代火力発電~ロードマップ~』
COP21におけるパリ協定の採択など、国内外のエネルギー、温暖化対策を巡る議論は大きく進展。
改めて次世代の火力発電技術の開発を進めるべきことが再確認されています。
そこで今回は、2016年6月に取りまとめられた「次世代火力発電に係る技術ロードマップ」の内容について見てみたいと思います。
次世代火力発電技術開発の加速化とロードマップ策定の必要性
2030年度のエネルギーミックスの実現と削減⽬標の達成のためには、技術確立時期の近い、石炭火力、LNG火力の更なる高効率化に係る技術開発を加速し、実用化を促進していくことが重要。
これまでの火力発電に係る技術開発は個別の技術ごとに進められていたが、一体的に推進することが、それぞれの技術開発の効率化、加速化につながる。
また、CO2回収、利用(CCUS)に係る技術の中には、火力発電技術そのものと一体となって開発するものもあり、また水素発電技術もLNG火力技術をもとにした火力発電技術であるため、石炭火力やLNG火力の技術開発と連携して進めていくことが効果的。
このため、2030年度をターゲットにした石炭火力、LNG火力の新技術と、2030年度以降を見据えたCCUS、水素発電技術の4つの分野を統合した技術開発のロードマップを策定することで、それぞれの次世代火力発電技術の開発をより効率的かつ、スピード感を持って効率的に推進していくことが可能になると考えられている。
実用化に向けた基本方針
(1)2030年度に向けた取組み 「エネルギーミックスの着実な実現」
<エネルギー⾰新戦略>
①徹底した省エネ
②再エネの拡大
③新たなエネルギーシステムの構築
・火力発電の⾼効率化に係る技術開発の加速
④エネルギー産業の海外展開
・高効率火力発電の導入支援
<水素・燃料電池戦略ロードマップ>
①フェーズ1
・エネルギー供給分野における水素の利活用
・運輸分野における水素の利活用
<地球温暖化対策計画>
A:産業部門の取組 B:業務その他部門の取組
C:家庭部門の取組 D:運輸部門の取組
E:エネルギー転換部門の取組
電力分野の二酸化炭素排出原単位の低減
・火力発電の高効率化等
(2)2030年度以降を⾒据えた取組み
「経済成長と気候変動対策の両立の鍵となる革新的技術の開発」
<エネルギー・環境イノベーション戦略>
①革新的生産プロセス
②超軽量・耐熱構造材料
・1,800℃級ガスタービンの耐熱材料
③CO2固定化・有効利用
④水素等製造・貯蔵・利用
・水素発電技術
⑤次世代蓄電池
⑥次世代太陽光発電
⑦次世代地熱発電
<エネルギー⾰新戦略>
ポスト2030年に向けた水素社会戦略の構築
・水素発電の導入
<水素・燃料電池戦略ロードマップ>
②フェーズ2
・水素発電の本格導入
・大規模な水素供給システムの確立
③フェーズ3
・トータルでのCO2フリー水素供給システムの確立
まとめ
「次世代火力発電に係る技術ロードマップ」では、石炭、LNG火力、CCUS、水素発電の技術開発を連携して進めていく方針となっています。
まだまだ化石燃料に頼らざる得ない状況である点には課題が残るが、温暖化対策と経済成長の両立を目指すためには、このロードマップの内容を実現していく技術革新が不可欠です。
新たなビジネスチャンスとして今後の動きも注目ですね!
この記事へのコメントはありません。