『決算書理解講座48 売掛金の滞留日数』
決算書理解講座47では「預貸率」について説明しました。
今回は、「売掛金の滞留日数」について説明したいと思います。
売掛金の滞留日数を調査する意味
A社の総資産は当期末1,288百万円、これに対し売掛金の残高は252百万円だったとします。
この場合、売掛金は総資産の19.6%、2割近くを占めていることになります。
売掛金が文字通り「売掛金」である以上、いつかは入金の時期がやってきます。
望ましい形としては、納品した翌月、すなわち1ヵ月後に入金、となれば困ることもあまりないかと思います。
しかし、全ての売掛金が綺麗な形でキチンと入金されるとは限りません。
取引先の資金繰りが悪化し、数ヵ月間入金無し、という売掛金があるかもしれません。
バランスシート(B/S)に表示されている売掛金は、会社が期末に所有している売掛金の合計であり、個々の取引先別に表示されている訳ではありません。
(内訳書を見ればわかりますが・・・)
そこで、B/Sの売掛金残高から回収状況がどうなっているのかを判断する指標に「売掛権の滞留日数」を調べる方法があります。
算出方法
売掛金の滞留日数=期末の売掛金残高÷(年間売上高÷365)
という式に当てはめて計算すれば調査が可能となります。
計算式だけではわかりにくいかと思うので、具体的に数字を入れてみたいと思います。
仮に3ヵ月決算の会社があるとしましょう。この会社は1月から3月までの3ヵ月間が決算期であるとします。
そしてこの会社は、1月60万円、2月60万円、3月60万円、といった売上を計上していました。
全て掛け売りです。
入金状況ですが、
1月:売上60万円、入金 0円、売掛金残高60万円
2月:売上60万円、入金60万円、売掛金残高60万円
3月:売上60万円、入金60万円、売掛金残高60万円
と、当月分の売上は翌月にキチンと入金されています。
3月末時点の売掛金の滞留日数を計算してみると、
まず、1日あたりの売上高は 180万円÷90日=2万円 となります。
一方、3月末時点の売掛金残高は60万円。
よって、売掛金の滞留日数=60万円÷2万円=30日
というように計算します。
売掛金の滞留日数は30日=約1ヵ月であると分析できます。
こんな感じで、決算書のP/Lから売上高、B/Sから売掛金残高の数字を
拾うだけで簡単に計算することができます。
売上高が増えると売掛金が増えるのはある意味当然ですが、滞留日数で比較
した場合、滞留日数も増加しているとなれば、回収条件が変わっていたり、
回収状況が悪化している可能性が高いので注意しておく必要が出てきます。
ご理解頂けましたでしょうか?
次回は、「在庫の回転」について説明したいと思います。
お楽しみに!
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