『女性を支援する金融面からの取り組み』
アベノミクス成長戦略の柱として打ち出されている「女性が輝く世界」へ向けた金融面での取り組みが広がりを見せています。
そこで、今回は女性を支援する取り組み事例についていくつか見てみたいと思います。
農業女子を支援
農業を始める女性を応援しようという動きが活発化しています。
日本政策金融公庫の福島支店は、若手新規就農者を対象にした融資を県内で初めて女性農業者に行ったことを発表。
高齢化や担い手不足に加え、原発事故に伴う風評対策など特有の課題を抱える県内農業の振興に向け、女性ならではの視点を生かした「農業女子」の活躍に期待が高まっている。
日本政策金融公庫の融資を受けたのは、伊達市でミニトマトやサヤエンドウを生産している女性。
震災後に県内でのボランティアを経て、伊達市の「地域おこし支援員」として活動。
多くの農業者が離農していく現実を目にし「福島に活気を取り戻したい」と就農することを決めたという。
ミニトマト用選別機や作業所改修のための設備資金として500万円の融資を受けた。
農業女子の機運の高まりは他にもあり、福島県は県内の女性農業者や就農希望者による「ふくしま農業女子ネットワーク」を設立。
20~60代の女性30名弱が参加。
参加者からは、幼稚園での食農教育や民間企業と連携したメニュー開発、化粧品関係との共同研究などの案が出ているという。
女性専用ローン:結婚・子育て資金
南都銀行では女性専用の個人ローンの取り扱いを開始。
結婚、出産、子育てなどに必要な本人か子供の生活資金を10万円以上500万円以内で融資する。
パートやアルバイトも利用できるとし、地方銀行では女性専用の住宅ローンはあるが、結婚、出産などの資金を対象とするのは珍しい。
専用ローンの名称は「ナント・女性専用ローン」。
申込み時の年齢が満20歳以上で、完済時の年齢が満70歳未満の方が対象。
南都カードサービス又はオリエントコーポレーションの保証付与が条件。
融資期間は6カ月以上、8年以内としている。
女性活躍の先進企業を認定した融資制度
三井住友銀行では、女性の活躍を推進する取組み状況を独自の基準で見える化する企業を支援する「SMBCなでしこ融資」を取扱っている。
九州の小売業では初めて認定を受けたイオン九州では、以下の取組みにおいて「女性活躍の先進企業」としての認定を受ける。
①女性のキャリア意識向上に向けて、非管理職の女性を対象とした研修(女性未来研修)や、ロールモデルとなる女性管理職との交流機会を提供。
②資格制度を通じて、コミュニティ社員(パートタイマー)として入社した社員が正社員へキャリアアップできる体制を整備。
③働きやすい環境整備に向けて、子どもが中学校卒業まで短縮勤務を可能とする「育児勤務」や、最長6年間転居を伴う転勤を行わない「転居停止制度」、円満退社後に復職を可能とする「リ・エントリー制度」を提供。
特に女性管理職の育成については育児との両立支援を実行し、女性経営者育成セミナーを通して、意欲ある従業員が仕事へのモチベーションを維持しながら、自発的にキャリアアップを目指せる制度を構築するとしている。
東南アジアの女性起業支援
国際協力機構(JICA)、国際協力銀行(JBIC)と住友生命は、東南アジア諸国連合(ASEAN)などの女性の起業支援を目的とするファンドにそれぞれ3,000万ドル出資すると発表。
ファンドの名称は「ジャパン・ASEAN・ウイメン・エンパワーメント・ファンド」。
ブルーオーチャード・ファイナンスが組成・運営し、女性の起業を支援するマイクロファイナンス機関(通常の商業銀行などから借り入れのできない貧困層に新規事業資金を融資することで自立を支援する機関)に投融資を行う。
募集額は約1億2,000万ドルで、JICA、JBIC、住友生命のほか、国内の機関投資家が出資するとしている。
まとめ
今回ピックアップした取り組み以外にも、女性の起業を支援する取り組みも広がりを見せるなど、金融面からの女性支援策は拡大しているようです。
2016年4月に施行された「女性活躍推進法」も後押ししている。
育児環境の改善やキャリア育成など、女性をトータル的に支援する取り組みは今後も広がっていくものと思料します。
ライフステージに合わせて仕事ができる環境づくりに今後も期待ですね!
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