『外国為替の知識を身につけよう
~輸出手形の買取~』
金融機関にとって「輸出手形の買取」とは、輸出貨物を化体している船積書類を担保として手形を買取ることであり、手形期日からその手形が決済されるまでの間、振出人である輸出者に対し、外貨(又は円貨)で融資することを言います。
そこで、今回は、金融機関がどのような点に注意しているのかを知ることで輸出取引の円滑化を図れないか、といった目線で説明してみたいと思います。
信用状ベースの手形買取
信用状発行銀行が支払不能に陥るとか、輸入者に支払能力または支払意思がないために信用状条件と船積書類の極めて些細な不一致を理由に手形の支払が拒否される、といったケースがあります。
このような場合、買取銀行は最終的には買取依頼人である輸出者に手形を買い戻してもらうことになるが、輸出者に償還能力が無い場合には、銀行は多大なる損害を被ることとなります。
金融機関はどのような点に注意しているのかについて少し見てみましょう。
・買取依頼人の信用状態
・信用状の点検
信用状が一流銀行が発行した取消不能信用状、或いは一流銀行の確認した信用状であるか?
・信用状条件と手形・船積書類の照合点検
・船積書類及び付帯書類
輸出手形が不渡りになったりすると、金融機関は輸出荷物の処分によって債権回収を図る。
船積書類の有効性や付帯荷物の性質、換金性などを調査する。
・担保及び保証
・国際政治・経済情勢
信用状発行銀行の所在する国の政治・経済情勢を考慮する。 など
信用状条件との不一致時の対応策
■電信照会による買取(ケーブル・ネゴ)
買取銀行が不一致のある手形の買取可否について、信用状発行銀行に電信で照会を行い、その応諾を得て買い取る方法。
■補償状による買取(L/G付買取)
不一致の内容が軽微で、依頼人の信用が充分であると判断できる場合は、万一不渡りとなった場合、買取代り金を償還する旨の補償状(L/G)を徴求して買い取る方法。
■取立扱い(Collectiom)
依頼人の承諾を得て輸出手形を取立扱いとする方法。
この場合、信用状に基づいて振り出された手形であっても、実態は信用状取引とは切り離された取引となる。
信用状なし輸出手形
信用状なし輸出手形取引(D/P、D/A取引)は、信用状付輸出取引と異なり、信用状発行銀行の支払保証がなく、売主と買主の間の信用を基礎としている。
しかし、買主に支払いの意思、能力が十分にあったとしても、輸入国の為替制限などにより資金回収が遅延する危険性があるため、信用状取引に比べリスクが大きい。
D/Pは荷為替手形の支払と引換えに船積書類を引き渡す条件のものをいい、D/Aは荷為替手形の引受けと引換えに船積書類を引き渡す条件のものをいう。
まとめ
輸出する側にとっては、商品を発送する前に輸入者から決済資金を送金してもらえれば有難い所ですが、そうも行かないのが海外取引です。
そこで、輸入者の代金支払いを輸入者の取引銀行が保証することによって取引をスムーズに行うために使われるのが「信用状」であり、信用状の条件に一致した船積書類を添付の上、荷為替手形を輸出者が振出し、金融機関に買取ってもらう取引が信用状付の輸出手形買取となります。
金融機関が輸出手形の買取を行う上で、今回説明した内容などをチェックし、買取(融資)を行っています。
次回は輸出手形保険と保証状について説明したいと思います。
お楽しみに!
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