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『決算書理解講座55 オプション取引』

 

決算書理解講座54では「レバレッジド・リース」について説明しました。
今回は「オプション取引」について説明したいと思います。

■オプション取引の概要

あらかじめ定めた期日(行使日)までに、定めた価格(行使価格)で商品(通貨)の特定数量を買う、又は売る権利をオプションといい、その権利の取引をオプション取引といいます。

A:権利行使
コールオプションでは「市場価格>権利行使価格」、プットオプションでは「市場価格<権利行使価格」の場合にオプションの買手は権利行使し、買手と売手の間で権利行使価格に相当する取引代金の授受及び対象商品の授受が行われます。

B:権利消滅
オプションの買手の権利行使期間内に権利行使が無い場合、その権利は消滅します。
自動的に売手の義務も消滅する。

C:相殺
取引当事者間で既に成立している取引と反対の権利義務関係を有する取引が成立した場合は、両者の合意に基づき既存取引と新規取引とで相殺することができ、権利義務関係は一切消滅します。

D:プレミアムの価値
プレミアムは、本来的価値と時間的価値の2つの価値から成り立っています。
本来的価値は、オプションの行使によって得られる利益であり、直ぐに得られる利益として認識されている。
これに加え、将来の不確実な市場価格に対して現時点で決定される価値のことを時間的価値といいます。

プレミアムの決定要因には①市場価格、②行使価格、③期間、④市場価格の変動性(ボラティリティ)、⑤現在から行使日までの金利、が挙げられます。

プレミアムは市場状況によって決定されますが、原資産の市場価値と行使価格は本来的価値に影響を与え、期日までに時間やボラティリティは時間的価値に関係します。
このボラティリティとは、行使時における原資産の価格がとりうる値の確率度合を測ったもので、この高さはリターンの増加の可能性があるため、オプションプレミアムを高めることになります。

■オプションの種類と特徴

A:債券店頭オプション
国債から一般債まで幅広い対象となるが、当事者間で自由に設定できるため流通性が低く、価格形成は恣意的になる可能性があります。

将来、債券を購入予定か、現在保有している債券を売却する予定がある場合の価格変動リスクを回避するヘッジ目的で利用されます。

また、相対取引であるため、多種のバリエーション取引が考案されています。オプションの買手はリスクが限定され比較的安全であるが現実的には専門知識を必要とします。

B:通貨オプション
為替予約は予約を実行しなければなりませんが、通貨オプションは為替状況により買方独自の判断で権利行使をするかしないかを選択できます。

買方の損失はオプション料に限定され、それを超えることはないが権利行使しなくても返還されない。

売方の利益はオプション料に限定されますが、損失は相場次第で決定されるため限定することはできません。

オプション料の支払により、将来不測の為替変動に備え、為替差損を回避することができる。

ご理解頂けましたでしょうか?

次回は、「金利スワップの活用事例」について説明したいと思います。
お楽しみに!

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