『外国為替の知識を身につけよう
~輸入信用状の発行~』
信用状を発行することにより銀行は依頼人に対して求償権を持つことになりますが、銀行はどのような点を見て与信の採り上げ可否を決めるのか今回は少し見てみたいと思います。
基本的な検討内容
①業績推移、②財務内容の分析、③資金繰り、④生産、販売、在庫の状況、⑤業界における地位と業界の動向、⑥経営者、株主関係、⑦金融機関取引状況、などがあります。
但し、信用状発行の可否については、基本的な検討内容だけではなく、下記のような内容についても検討しているということも頭に入れて頂ければと思います。
■輸入商品の市況及び市場性
輸入商品は契約してから実際に到着するまでに渡海日数などで余分な日時を必要とするため、市況変動の激しい商品の場合は予想外に相場変動が起こり損害を被る可能性も出てきます。
また、その商品の需要や売行きなどの市場性の検討に加え、依頼人がその輸入商品の取扱いについて実績があるかどうかなども見ています。
■輸入商品販売先の信用度と支払条件
販売先の信用状態によっては代金回収に支障をきたすため、販売先の信用度も見られることとなります。
また、銀行は販売先からの回収条件を確認し、輸入ユーザンスの期間やハネ返り融資の要否なども把握し、資金繰りの分析を行っています。
■輸入ユーザンスの要否・方法など
依頼者が輸入代金を決済する際、一覧払で決済するのか、或いは輸入ユーザンスをどのくらいの期間必要とするのか、などを分析しています。
輸入ユーザンスが必要となる場合は、信用状発行の検討と同時に輸入ユーザンスの稟議も行っている。
まとめ
銀行が検討していることを輸入者も理解しながら輸出者と交渉したり、事業スキームの検討を行う材料となればと幸いです。
輸出者の信用度も調査されることがありますが、銀行サイドも把握することが難しいことから、検討内容には入れておりません。
但し、国によっては商習慣の違いなどから売買契約の内容と違った船積を行ったりする場合もあるので、その辺りのチェックが入る可能性はあります。
次回は、輸入ユーザンスの概要について見てみたいと思います。
お楽しみに!
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