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『決算書理解講座57 通貨スワップの活用』

 

決算書理解講座56では「金利スワップの活用」について説明しました。
今回は、「通貨スワップの活用」について説明したいと思います。
通貨スワップは、通貨の異なる債務を相互に元利とも交換する取引です。

例えば、外貨建社債など固定の外貨建債務を発行すると共に、通貨スワップ契約を行い円貨建債務と交換し、実質的に円建債務に変えることで円貨債の起債と同じ効果を期待するものとなります。

この交換は元利金の支払の交換にすぎず、債務者としての法的権利は移転せず債務はオフバランスにより偶発債務となります。

事例

A社は外債発行の方が比較的事務手続きが簡単であったことや、アメリカ起債市場で信用力が強いことから外貨建債権を発行し、調達コストが円貨建に比べ低減したいと考えている。
しかし、為替リスクを回避するため通貨スワップ取引を行った。

A社は
・外債発行のため、アメリカの債権者・投資家からUSドルを調達し、USドル金利を支払。
・銀行と通貨スワップ契約を締結。

一方銀行は
・CP(社債)を発行し、円元本を調達し、円元利を支払。

A社と銀行の間では、
・A社は銀行に対し、USドル元本を支払、円元本を調達。
・銀行はA社に対し、USドル元利を支払、円元利の返済を受ける。

 

≪A社≫
社債:100万ドル
期間:5年
利率:8%

≪銀行≫
元本
元本:100万ドル  為替レート:110.00  円貨:1億1,000万円

利息
利息1:8万ドル  為替レート:108.00  円貨:864万円
利息2:8万ドル  為替レート:106.00  円貨:848万円
利息3:8万ドル  為替レート:104.00  円貨:832万円
利息4:8万ドル  為替レート:102.00  円貨:816万円
利息5:8万ドル  為替レート:100.00  円貨:800万円

償還
償還:100万ドル  為替レート:100.00  円貨:1億円

元利合計
元利:140万ドル  為替レート:101.14  円貨1億4,160万円
上記では、A社は社債100万ドルを1億1,000万円で売却し、元利金140万ドルを1億4,160万円で購入(スワップ債務元利合計)します。

スワップ債務利息総額=14,160万円-11,000万円(スワップ債務)=3,160万円

となります。

ご理解頂けましたでしょうか?

次回は、「マルチカレンシー・ローンの活用」について説明したいと思います。
お楽しみに!

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