『外国為替の知識を身につけよう
~貨物貸渡(T/R)~』
輸入手形付帯貨物引渡(T/R)とは、銀行の所有物である輸入貨物を輸入手形の決済以前に貸渡しすることを言います。
なぜ、T/Rが必要なのかというと、輸入信用状取引において、輸入貨物は輸入与信に対する譲渡担保として銀行の所有に属する旨が明記されています。
そのため、信用状には原則として下記のような条件が折り込まれています。
■船便で貨物が輸送される場合
①船荷証券(B/L)の全通を信用状発行銀行宛に送付すること。
②そのB/Lは、信用状発行銀行が直接貨物を受け取れるような形式や裏書がなされていること。
■航空便で貨物が輸送される場合
①Air Waybillの荷受人を信用状発行銀行とすること。
到着した一覧払輸入手形を輸入者が直ちに決済するのであれば銀行にとって問題はないのですが、銀行が輸入ユーザンスを許容する場合は、ユーザンス期日に輸入者が手形を決済するまで貨物は引き続き担保として確保する必要があること。
担保として確保するといっても、船積書類を輸入者に渡さないのであれば、貨物の通関、入庫、売却等を銀行自身が行なわなければならなくなることから、実際取引の必要性から考え出されたのが輸入貨物の貸渡(T/R)となります。
T/Rの種類
■通関貸私
通関貸私とは、貸渡した輸入貨物の陸揚、通関、入庫を認めるが、売却までは認めない方式をいいます。
一般に通貨貸渡は、輸入者の信用力が弱く、銀行の債権保全上懸念がある場合に行われるものですが、実際に利用されるケースはほとんど無い。
■保管貸渡
通常、T/Rといえば保管貸渡のことをいうぐらいの典型的なT/Rで、保管貸渡の基本的な要件は、貸渡した貨物の売却までを認めている。
■航空貨物、郵便小包の場合
航空貨物、郵便小包による輸入の場合、B/Lの代りに「航空貨物受取証(Air waybill)」や「郵便小包受取証(Parcel Post Receipt)」が利用される。
この場合輸入者は、銀行経由で送られてくるこれらの書類を航空会社や郵便局に呈示しなくても貨物を引き取ることができる。
T/R手続きの流れ:L/C付輸入手形の場合
①L/C開設
②輸入手形・船積書類到着
③銀行:輸入ユーザンス取組及びT/R許容
④輸入貨物の到着
⑤輸入貨物売却
⑥売先より販売代金受領、銀行:T/R見返り手形
⑦輸入ユーザンスの期日及びT/Rの終期
手続きの流れとしては①~⑦の順に流れ、ユーザンスの期間は②~⑦、T/Rの期間は③~⑦となります。
ご理解頂けましたでしょうか?
次回は引取保証について説明したいと思います。
お楽しみに!
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