『外国為替の知識を身につけよう
~インパクト・ローンの概要~』
インパクトローンとは、銀行が国内の取引先に対して行う外貨建融資のことをいいます。
円建融資の貸付原資は、主に銀行が顧客から集めた預金となるが、インパクト・ローンの場合は、ユーロ市場や東京ドルコール市場から調達した資金が原資となり、いずれも調達した金利に一定の利鞘を上乗せしたものを適用金利としています。
インパクト・ローンは外貨の取引となることから、国内企業は借入金を円に換えて使用する相場と、円貨により返済する場合に適用する為替相場とが異なるといった問題が起こる。
例えば、借入時の為替相場が1ドル110円であったものが、返済時には1ドル100円になっていると、1ドルあたり10円の為替差益を得ることができる。
逆に、1ドル120円になると1ドルあたり10円の為替差損が発生する。
この為替差損を回避する方法として、借入時に返済用の外貨買入相場を予約することにより、借入外貨の円相当額を固定させ、円ベースの実質的な利回りを確定させることができる。
企業の資金調達手段も多様化、国際化しており、海外と直接つながりのない企業でも、より低いコストの資金を求める場合、インパクト・ローンが活用されることもある。
オープン・インパクト・ローン
オープン・インパクト・ローンとは、借入と同時に返済予約を締結しないインパクト・ローンのことをいう。
為替相場の動向次第で為替差損が発生することもあり得るため、企業が既に保有している外貨建債権とインパクト・ローンの債務を相殺させて為替リスクを回避するといった手段が可能な際に導入されることが多い。
スワップ付インパクト・ローン
導入したインパクト・ローンを直ちに円に換え、且つ返済時に必要な外貨の買い予約を同時に行うインパクト・ローンのことをいう。
国内の円借入と同じ経済効果を持ち、借り入れた外貨を直物で売り円を取得、同時に先物で円を売り外貨を買う予約をして返済時の外貨資金を調達する、といった一連の取引をセットにした商品となっている。
借入人は、表面金利では低金利のメリットを受けるものの、先物レートが円安(外貨プレミアム・円ディスカウント)になり、為替レートの面から差損が発生する。
よって、外貨金利と為替差損を合算することで実質円金利は金利裁定によって国内の円金利とほぼ同一水準となる。
ユーロ円インパクト・ローン
ユーロ円インパクト・ローンとは、銀行の海外支店がユーロ円市場から調達した資金に一定の利鞘を上乗せして、直接、国内の借入人に融資するローンのことをいう。
ユーロ円インパクト・ローンは海外支店が融資する円建融資となるため、為替予約などは不要。
ご理解頂けましたでしょうか?
次回は「先物相場」について説明したいと思います。
お楽しみに!
この記事へのコメントはありません。