『決算書理解講座62
経営基盤拡大期の経営課題』
決算書理解講座61では「創業期の経営課題」について説明しました。
今回は、「経営基盤拡大期の経営課題」について説明したいと思います。
創業期というのは、人間でいえば幼児期にあたり、病気に対する抵抗力も弱く、このステージの倒産は「幼児型倒産」とも言われています。
危険の多いこのステージを無事に乗り越えると、第2ステージの「経営基盤拡大期」へと移行します。
経営者のレベルアップ
経営者に求められる能力はライフステージによって異なり、創業期においては、実績をつくり信用を高めるために粘り強く頑張る精神力などが求められます。
経営基盤拡大期においては、目の前のことへの対応だけでなく、大所・高所から進むべき道を明らかにし、具体的な計画を立て、従業員の働きやすい健全な組織をつくっていくことなどが必要となります。
よって、常に企業全体に目を向け、早く的確な判断が行える「決断力」「リーダーシップ」を養い、経営管理能力のレベルアップを図る必要が出てくるステージとなります。
なりゆき的な経営から計画的な経営へ
創業期においては、経験も乏しく実績も無いことからどうしてもなりゆき的な経営になってしまいます。
しかし、経営基盤拡大期においては、経営を計画的に行う必要が出てきます。
無計画な経営では、例えば売上が急増した場合、経費も増大してしまい肝心の利益は伸び悩むといったケースも少なくありません。
反対に、売上が急減した場合は、経費の削減も適切にできないことも多く、たちまち赤字に転落してしまうことになります。
経営計画の策定
経営計画の策定手順としては、第1に経営方針を固め、第2に経営目標を定めます。
そして第3に長期計画(基本計画)をつくり、第4にそれらをブレイクダウンして中期計画・短期計画へと進めていきます。
期間ですが、長期計画は4~5年、中期計画は2~3年、短期計画は1年程度のものを作成すると良いでしょう。
経営方針の設定
経営計画の策定に際して、経営者はまず「経営方針」を明らかにしなければなりません。
それは「経営理念」や「社是社訓」「事業目的」「ミッション」という形でわかりやすく言葉で表現します。
例えば、「我が社は社会に奉仕し、消費者に良い商品を安く提供し、従業員には安定した生活を約束する」や「信頼される明るい会社」「独自の技術で未来を拓く」などが挙げられます。
企業の基本方針は、経営陣だけなく全従業員を対象とするので難しい言葉や固苦しい表現は避け、共感を呼ぶようなわかりやすい言葉を使うと良いでしょう。
経営目標の策定
経営の行動基準となる「経営方針」をよりどころにし、「経営目標」を設定していきます。
それには需要動向、競争条件の変化や目標達成に必要な期間、さらには「ヒト」「モノ」「カネ」の面からも検討していきます。
まとめ
ご理解頂けましたでしょうか?
次回は『経営課題へのアプローチ<モノ編>』について説明したいと思います。
お楽しみに!
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