『決算書理解講座63
経営課題へのアプローチ<モノ編>』
決算書理解講座62では「経営基盤拡大期の経営課題」について説明しました。
今回は「経営課題へのアプローチ<モノ編>」について説明したいと思います。
経営基盤拡大期では、下請企業である中小企業が多いことから、ここでは製造・加工業を営む企業の経営課題に対するアプローチについて見てみたいと思います。
経営方針の徹底
下請企業を取り巻く環境は決して安定したものとは言い難く、変化に対応できるか?という点が重要になってきます。
そのためには、常に方向付けを明確にしておかなければなりません。
明確な経営方針というのは、経営の重点をどこに置くのか、を示したものになります。
経営方針はそれぞれ企業によって異なり、企業の特色・存在理由を示すものとなりますが、これを理解しているのは経営者と一部の幹部のみで、現場の従業員はほとんど知らない、といったケースも少なくありません。
まずは、「明確な経営方針を立て、それを現場まで徹底させる」ことが重要となります。
技術上の特色
企業における技術には「固有技術」と「管理技術」の2つがあります。
固有技術には、例えば「加工下請」の場合、切削・処理・変形・反応・組立などがありますが、これらについて、他社が容易にできないような技術を持つことが重要となります。
特色のある機械を保有し、それを上手くこなす技術者を養成していくことがポイントとなります。
一方、管理技術には、品質管理や納期管理、コスト管理などにおける技術が挙げられます。
具体的には品質を常に一定水準以上に維持したり、不良品再発防止のためにシステムを確立していくことにあります。
また、納期を守る意識が全員に徹底されており、万が一納期遅れが発生したとしても、直ちにそれを挽回する手立てができているかどうかもポイントとなります。
固有技術や管理技術を単に維持しているだけでは、変化の速いこの時代においては、やがて同業他社に遅れをとってしまうことにも繋がるので、常に業界の情報を収集し、工夫と改善を重ねながら更なるレベルアップを図ることも重要となります。
問題点の把握
自社の問題点を早く知るには、発注先からの評判や苦情、従業員の意見などを注意して聞くことを経営者は意識しておく必要があります。
そして、問題点を早急に改善するには、企業のトップが問題点の早期改善を強く決心し、改善へ向けた具体的な方法や指示を行うことが重要となります。
まとめ
ご理解頂けましたでしょうか?
いずれにしても、経営者だけでなく、幹部や従業員と経営課題を共有し、それらの課題に対してどのようにアプローチを図って行くのかを企業全体で取り組める組織づくりが経営基盤拡大期には必要となります。
次回は「経営課題へのアプローチ<カネ編>」について説明したいと思います。
お楽しみに!
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