『決算書理解講座64
経営課題へのアプローチ<カネ編>』
決算書理解講座63では「経営課題へのアプローチ<モノ編>」について説明しました。
今回は、「経営課題へのアプローチ<カネ編>」について説明したいと思います。
創業期においては資金調達力が不十分なため、自己資金を中心にした資金計画を立てることが
多いですが、経営基盤拡大期に入ると「カネ」の面でも一歩前進し、「増加運転資金」や
「設備資金」の導入を検討することになります。
運転資金
増加運転資金は、売上増加に伴うものと、取引条件の変更によるもの(回収遅延・在庫拡大・
支払条件の短縮など)とがあります。
ここでまず理解して頂きたいことは、増加運転資金=前向きな資金、と必ずなるものではないという
点です。
単純な売上増加に伴う増加運転資金であれば良いのですが、「取引条件の悪化に伴う増加運転資金」
が必要となる場合は、その原因を調査し是正していかなくてはなりません。
経営基盤拡大期に入ると、企業規模が増大して売上高、利益も増えるようなり、法人税など税金の
支払資金や、従業員が増えればボーナス資金などの確保も必要となってきます。
但し、資金不足だから単純に融資を受ければ良い、と考えがちになりますが、例えば運転資金不足の
原因が売上債権(売掛金+受取手形+割引手形)の増大であっても、業界平均より回収期間が長く
なったから売上債権が増えたのであれば、資金調達を行なえたとしても、財務内容の悪化を招く
可能性があるという点は押さえておく必要があります。
設備資金
設備資金には「拡大投資資金」「合理化投資資金」「更新投資資金」「研究開発投資資金」
「関連投資資金(社員寮など福利厚生施設への投資など)」などがあります。
経営基盤拡大期の設備投資は、投資効果が低い「関連投資」や「研究開発投資」は極力抑え、
本格的な「拡大投資」も次のステージである成長期でも必要となってくるため、「合理化投資」
や「更新投資」に力点をおくと良いように思います。
ご理解頂けましたでしょうか?
次回は「貸借対照表からの資金繰りチェック」について説明したいと思います。
お楽しみに!
この記事へのコメントはありません。