『決算書理解講座65
貸借対照表からの資金繰りチェック』
決算書理解講座64では「経営課題へのアプローチ<カネ編>」について説明しました。
今回は、「貸借対照表からの資金繰りチェック」について説明したいと思います。
運転資金のチェック
運転資金の所要額は「売上債権(受取手形・売掛金)+在庫(棚卸資産)-仕入債務(支払手形・買掛金)」となることから、売上や在庫が増加する場合、或いは仕入債務が減少する場合には資金需要が発生します。
また、運転資金は「月商×(売上債権回転期間+在庫回転期間-仕入債務回転期間)」でもあり、売上債権の回転期間が長期化する場合や、仕入債務の回転期間が短縮する場合にも運転資金の資金需要が発生します。
よって、「売上高の増加」「回収条件の変化」「支払条件の変化」「在庫の増加」の状況について、貸借対照表を時系列に並べて比較し、チェックしておくことが重要となります。
資金繰り改善方法(資産・負債)
<仮払金・貸付金>
金融機関から見た場合、その内容にもよりますが、法人へ融資した資金が個人などへの貸付金(仮払金)として流れているのでは?と疑うことが多い勘定科目で、新規融資を受ける際の妨げにもなりやすい科目です。
そこで、これらを勘定科目を無くし、更に法人の資金繰りを改善する方法として、金融機関の個人向けローンを活用し乗り換え、仮払金や貸付金を回収する、といった手法があります。
<売上債権(受取手形・売掛金)>
運転資金のチェックでも説明しましたが、売上債権が増えると運転資金の資金需要が発生します。
そこで、増える売上債権という資産を資金化(現金化)できれば資金繰りの改善に繋がる、ということは理解しやすいかと思います。
売掛金が大きく膨らむ場合、売上債権担保融資やファクタリング(債権譲渡)の活用、受取手形が大きく膨らむ場合は手形割引の活用なので資金繰りの改善を図ることが多い。
<未払金>
未払金の中には設備関係の未払金が含まれていることもあります。
その場合、金融機関の条件にもよりますが、銀行融資に乗り換えることで資金繰りの改善を図るといった方法もあります。
まとめ
資金繰りという観点から貸借対照表全体を見るポイントは
資産項目:現預金の金額を増やす方法を検討(資産の流動化)。
負債項目:仕入債務を増やす方法を検討。
短期借入金と長期借入金で調達した資金が流動資産(短期)、固定資産(長期)のバランス
と合っているか?
などを見ておくと良いのではと思います。
ご理解頂けましたでしょうか?
次回は「企業活動と財務諸表」について説明したいと思います。
お楽しみに!
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