『中小企業の事業承継
~株式の移転とその問題点2~』
株式を後継者に集中させると同時に、株式の評価額を引き下げながら後継者へ贈与または譲渡していくことも大切なポイントとなります。
税制の優遇などが無ければ、本来、計画的に年数をかけて繰り返し贈与と譲渡を行なうなど、早期に対策を打つことが望ましい。
今回は、株価引下げと株式分散のポイントをいくつか書いてみたいと思います。
評価方法に着目した株価引下げ
<売上高の係数アップ>
売上高基準で中会社の小から大へ変更できる可能性があれば、賃加工取引、相殺取引などを見直すことなどにより、区分を大にした方が有利となる場合が多い。
<役員退職金の支給>
社長の引退等で、地位に大きな変動が起きた場合、これまでの功績に対する役員退職金を支給することで、純資産額を引き下げることが可能。
などが考えられます。
株式分散のポイント
<生前贈与>
株式分散には様々な形態がありますが、同族会社のオーナーにとっては、後継者個人をはじめとする同族関係者への生前贈与も広い意味での分散方法の一つと言えます。
この場合、毎年計画的に実施することが大切で、赤字決算の場合は自社株の評価も下がるので、生前贈与のチャンスにもなる。
<関連会社への株式分散>
自社株を法人が所有する場合、相続税の対象とならないため、関連会社をうまく活用することで株式分散を図ることも可能と考えます。
株価引下げ対策の実施などで自社株の評価をある程度引き下げた後、社長が所有する自社株を後継者等を株主とする関連会社へ時価へ譲渡するイメージ。
<会社分割>
会社分割とは、会社の一部門を別会社として分離独立させることをいいます。
会社に高収益部門と低収益部門とがある場合、高収益部門を分離独立させることでその会社の株価引下げが可能となるケースもあります。
但し、会社分割は会社経営の根幹にかかわる問題でもあるので安易に行うと経営自体に大きな影響が出てしまうことにもなりかねないので、十分な検討と総合的な判断が必要です。
ご理解頂けましたでしょうか?
次回は「円滑な承継とそのポイント」について説明したいと思います。
お楽しみに!
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