『決算書理解講座83 財務分析手法
~各運転資金の所要額検討②~』
決算書理解講座82では「財務分析手法~各運転資金の所要額検討①~」として、経常運転資金・増加運転資金の所要額について説明しました。
今回は前回の続き、「財務分析手法~各運転資金の所要額検討②~」について説明したいと思います。
季節資金について
季節資金は業種や取り扱う製品・商品などの特性により、季節的に売上や仕入が一時的に集中するために生じる資金需要です。
一時的に売上が集中すれば、その直前までに計画的に在庫を積み増す必要があり、仕入時期が一時期に偏ると、まとめて仕入を行わなければならなくなるため、回収・支払条件によっては、かなりの資金不足が生じます。
この資金需要は、毎年発生するものの、需要額が月々変化するため、経常運転資金のように算式で把握することは難しい。
よって、仕入計画、生産計画或いは販売計画などから期間中の
「売上債権+棚卸資産―仕入債務」
の変化を月別にとらえた所要額を把握するのが一般的となります。
決算資金について
決算資金は決算に伴う納税や配当、役員賞与の支払いにより発生する資金需要です。
当期に上げた利益から支払われるもののため、資金需要は不要?と思われる方もおられるかもしれませんが、利益が売掛金や受取手形などの形態でまだ現金化していなかったり、現金化していても手元の流動性として保有せず、事業拡大のための投資に使っていたりすることがあります。
このような場合、決算資金の需要が発生する要因となります。
決算資金の所要額は、本決算と中間申告の時点で異なってきます。
本決算時、法人税等の納付額はおおよその目途として、
「前期の課税所得×40%―(前期中に支払った中間申告税)」
と算出したりします。
また、中間申告時ですが、
予定申告の場合は「前期確定法人税等×6/12」
仮決算の場合は「6ヵ月の仮決算を行い、その課税所得に基づき納付」
でおおよその所要額を算出します。
通常は予定申告による場合が多いのですが、業績下降局面では仮決算を行うことにより、納付税額を少なくしたりするケースもあります。
ご理解頂けましたでしょうか?
次回は、「財務分析手法~法人税申告書の別表~」について説明したいと思います。
お楽しみに!
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