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『決算書理解講座85 財務分析手法~前期比較がまず基本:バランスシート編~』

決算書理解講座84では「財務分析手法~法人税申告書の別表~」として、季節資金・決算資金
について説明しました。
今回は、「財務分析手法~前期比較がまず基本:バランスシート編~」について
説明したいと思います。

今回は、例題(A社)を使いながら説明していきたいと思います。

まずはA社のバランスシートを2期間比較していきます。
と言っても、バランスシート上の各項目をひとつずつ拾い上げて比較するとかなりの手間ひまがかかるので、「大きな数字から次第に小さな数字へ」の手順で見ていきます。

A社の総資産ですが、
当期:1,288百万円、前期:886百万円
増減:+402百万円、対前期比145.3%
となっています。

前期はおよそ9億円近い資産でしたが、当期は13億円弱と4億円近く増えています。
率にするとおよそ45%のアップ。
資産規模が相当膨らんでいることがわかります。

それでは、次にどんな資産が増加したのか?
資産のスケールアップに伴い、資金調達はうまくいったのか?
はたして資産規模に見合うだけの利益を確保できたのか?

などが気になってきます。

A社の当期総資産は前期と比べて大きく膨らんだ、という点を確認することができました。

そこで、バランスシートの内容にも一歩踏み込んでみて行きたいと思います。

次に大きな数字は、負債合計と純資産(資本)合計です。

負債合計ですが、
当期:1,092百万円、前期:746百万円
増減:+346百万円、対前期比:146.4%

純資産(資本)合計は
当期:196百万円、前期:140百万円
増減:+56百万円、対前期比140.0%

資産と負債、そして純資産(資本)の関係は、「資産=負債+純資産(資本)」
すなわち、資産は負債と純資産(資本)それぞれにより賄われている、ということを意味します。

従って、資産がおよそ4億円増加したということは、
負債が4億円増えたか、純資産(資本)が4億円増えたか、負債・純資産(資本)それぞれ合算したところで4億円増えたのか、のいずれかのパターンになります。

そこで、A社ですが、負債・純資産(資本)ともに4割から5割弱のアップと増減率は双方ともほぼ同じです。

しかし、絶対額では大きな開きがみられます。
負債が3億4,600万円の増加。
純資産(資本)が5,600万円の増加。
と圧倒的に負債の増加額の方が大きいのがわかります。

今までの所を要約すると、
資産は前期より4億円増加している。
その増加額の一部は純資産(資本)で調達しているが、殆どは負債で賄われている。
といったことをつかみ取ることができます。

ご理解頂けましたでしょうか?

次回は、「財務分析手法~前期比較がまず基本:損益計算書編~」について
説明したいと思います。
お楽しみに!

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